その5

アイドルが南の島の海辺で写真を撮った。それを知ったあなたがまず思い浮かべるものはなんだろうか?おそらくそれはほぼ100%に近い確率で「水着」だろう。
しかし私は「8teen」を読み、その考えが浅はかな思い込みであったことを痛感させられるにいたったのである。
12、13ページの写真を見てほしい。
その直前まで海辺でのカットが続いていた。しかも浜で横になったりして、被写体の「女」の部分を浮き出していた。このような流れでいくと、当然次のページあたりで水着カットが出てきても不自然ではないわけである。正直に言うと、私も水着を期待していた。
なのに。誰が一体この直後に「木の上に登ったカット」が来ると予想できただろうか?
私はこれを見た瞬間、その唐突な場面展開に思わず自分の眼を疑った。落丁・あるいは乱丁か?と。しかし、1秒後に私は吹き出していたのである。木に登っている姿があまりにも似合っていたのだ。
木の高さに臆することなくこちらを見つめるその表情は少年そのもの。
どうやら彼女の魅力を引き出すには、浜辺よりもこちらの方がふさわしかったようだ。
「南の島」と「水着」と言う、今日までだらだらと続いてきた鎖を断ち切るという偉業を成し遂げたその人こそ、革命児・吉澤ひとみ吉澤ひとみたる所以なのである。
このカットは私にそれを教えてくれた。なんてな。